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小論文I(「物理、化学に関して」の物理該当部分)

小論文Iで120分、150点。

----------♦ I ♦----------

1   下記の文を読んで問いに答えよ。

一日の仕事も終え、冷蔵庫よりビールを取り出しコップに注ぎ、テレビのニュースを見ながら、自分の今日一日を振り返る。こんな毎日を送っている人 は多いと思う。私もこれらの人達と同じように、コップに注いだビールを一口飲み新聞を見、しばらくして、注いだときは激しく泡立っていた泡も消え、 底から一つ二つ、ぽつり、ぽつり、と泡が立ち上るビールの入ったコップをぼんやり見ていた。しばらく見ているとあることに気がついた。何も無い底に 小さな泡が出来、それは底についたままだんだん膨れ、(イ)ある大きさになると底を離れて浮かんで行く。しばらくすると (ロ)前と同じ場所から再び泡が成長していき前と同じ事を繰り返す。しかも面白い事に、泡が底を離れてから次にできた泡が底を 離れるまでの時間は、いつも同じようである。このような場所は底に数カ所あるが、各々の場所でできる泡については、大きさも、飛び立つまでの時間も、 少しずつ異なるようである。時間をかけて大きく成長して飛び立つ泡は、(A)飛び立ってからすぐ、速度をほとんど変えずに表面まで上昇して 行くが、小さいままで底を離れる泡は、上昇するにしたがって大きさも成長し、速度も増加して行くようである。

私は、いつもは気にもしなかったビールの泡の事に興味を持ち、もう少し調べてみたくなった。戸棚にメスシリンダーのような細長いガラスの花瓶があること を思い出し、その花瓶の底から、 1992problemPhysics001.png(1077 byte)の所に目盛りを付けた。 前の泡が底を離れてから次の泡が底を離れるまでの時間と、各々の高さに達するまでの時間を腕時計のストップウォッチ機能を利用して測定することにした。 過敏にビールを注いでしばらくすると底にできる泡は前のコップの時に比べ、時間をかけて大きく成長してから飛び立って行く。底をよく見るとどうも白く 汚れているように思われたので、ビールをあけ花瓶の内側をクレンザーで良く洗い、再びビールを注いでみた。すると飛び立つ泡はコップの時に比べても小さく、 ある場所では非常に小さい泡があたかも煙のように連続して飛び立つのが観測できた。どうも泡を底に引きつけておく力はガラスの表面の状態に 敏感のようである。この力が何によって引きおこされるのかを知るため物理の本をパラパラめくっていると毛管現象という項が目にとまった。この現象は 液体の表面があたかもゴム膜のような聴力(表面張力)を持っているために起こる現象で、下図のように、半径 1992problemPhysics002.png(186 byte) の細い管を液体中に浸すと管内の液体は管壁と 1992problemPhysics003.png(315 byte) の長さで接するので、液面と管壁とのなす角(接触角)を 1992problemPhysics004.png(235 byte), 単位長さあたりの表面張力を 1992problemPhysics005.png(211 byte) とすると、液面は上方に

1992problemPhysics006.png(534 byte)

の力で引っ張られる、このため液体は上昇し、ある高さになると上昇した液体の重さとこの力は釣り合う。また、接触角は水とガラスとの場合には

1992problemPhysics007.png(178550 byte)

ガラス表面が清浄ならば約 1992problemPhysics008.png(240 byte),よごれていると角度を 増し1992problemPhysics009.png(258 byte)近くになると 書かれてあった。これを見て泡が底を離れるときガラスの表面の状態によりいろいろの大きさになることが理解できるような気がした。 さて、いよいよ測定を開始しようとすると、泡の上昇する速度はかなり速いので、花瓶のなるべく(ハ)壁面の近くを上昇する小さな泡 をさがして測定することにした。測定を 1992problemPhysics010.png(215 byte) 回行ったら眠くなったので今日はここまでとし、結果の整理と解析は明日に回して床についた。

1992problemPhysics011.jpg(866313 byte)

問題を解くさい、自分で設定した文字はそれが何を表すかを記せ。一般的に使われている円周率 1992problemPhysics012.png(204 byte), 重力加速度1992problemPhysics013.png(223 byte), 自然対数の底1992problemPhysics014.png(200 byte) 等はそのかぎりではない。

問1.   (ロ)の現象はどうして起こるのか。

問2.   (ハ)の配慮はなぜ必要かその理由を説明せよ。

問3.   (イ)の現象はどうして起こるのかを考え、以下の問に答えよ。

i)   泡と底との接触部分は小さいので泡を半径 1992problemPhysics015.png(204 byte) の球形と考えたとき

a)   泡に働く浮力はどの様に表されるか。

b)   ビールから泡に、単位面積単位時間当り二酸化炭素が一定量 1992problemPhysics016.png(226 byte)だけ 供給されるとすると泡の半径 1992problemPhysics015.png(204 byte)と泡が出来始めてから の時間 1992problemPhysics017.png(201 byte)との間にはどのような 関係があるか。

単位面積単位時間当りとは、 1992problemPhysics018.png(311 byte)単位系で記述すれば 「1992problemPhysics019.png(374 byte)の面積当り 1992problemPhysics020.png(145 byte)秒間に」という ことである。

ii)   ビールのガラスに対する接触角を 1992problemPhysics004.png(235 byte), 単位長さ当りの表面張力を 1992problemPhysics005.png(211 byte)とし液体と 泡の境界面を半径1992problemPhysics015.png(204 byte) の球面と考えた時

a)   表面張力によって泡を底に引き付けておく力と半径 1992problemPhysics015.png(204 byte)との関係は どのように表されるか。

b)   この力は時間に対してどの様な関数で表されるか。

iii)   泡が飛び立つまでの時間と接触角との関係はどの様になるか。

問4.   測定結果からなんらかの法則を導き出すため二種類の方眼紙(普通の方眼紙と対数方眼紙)を用意してある。

i)   この二種類の方眼紙を使い泡が底に出来始めてからの時間と泡の速度との関係を導き出せ。方眼紙には縦軸と横軸は 何を表すかを記入し、そのグラフが何を表すかを分かりやすく説明せよ。

ii)   泡には 1992problemPhysics021.png(492 byte)1992problemPhysics022.png(210 byte)定数、 1992problemPhysics023.png(442 byte)泡の半径 1992problemPhysics015.png(204 byte)の関数、 1992problemPhysics024.png(222 byte)泡の速度) の摩擦力が働くものとし、 1992problemPhysics025.png(353 byte)の 事柄を、泡の加速は瞬時に行われて泡の大きさが上昇中変化しなければ速度も一定値であると解釈して、 1992problemPhysics026.png(205 byte)1992problemPhysics027.png(409 byte)の 関係式を求めよ。

iii)   1992problemPhysics027.png(409 byte)1992problemPhysics015.png(204 byte)の何次式になるか。

1992problemPhysics028.jpg(2981981 byte)

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