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東京医科歯科大学2010年度入試問題英語解説

90分、120点。


全文訳

1990年代の中頃、ニューヨーク市長と警察本部長は、秩序の乱れと軽犯罪の兆候への対策に力を注いだ。落書きは除去され、街路は清掃され、暴力行為の兆候は除かれた。この取り組みは「壊れ窓理論」に基づくものであった。壊れ窓理論は壊れた窓や散らばったゴミ、そして落書きなどといった形跡が、その他の種類の無秩序や軽犯罪を引き起こすとするものである。そういった形跡を取り除くことが、無秩序で軽犯罪的な行為を引き起こす重要な引き金を無くすことになるのだと考えられた。取り組みが開始された後、ニューヨークにおける軽犯罪の発生は減少した。それから、壊れ窓理論に基づく取り組みは、米国の様々な街やイギリス、オランダ、インドネシア、南アフリカなどにおいて、世界的に流行した。

壊れ窓理論は流行であるが、科学的裏付けを欠いている。科学的根拠を確かめるために計画された研究は、まちまちな結果を生じてきた。また、壊れ窓理論に基づく取り締まりがニューヨークにおける軽犯罪の急激な減少に貢献したという証拠もない。壊れ窓理論は、無秩序な環境がさらなる無秩序で軽犯罪的行動を引き起こすというものであるが、それはあべこべかもしれないし、両者(settingとdisorderly and petty crime)はその他の第三因子によって引き起こされているかもしれない。

ルールや慣習といった社会的規範とは、ある種の特定の行動に対する共通の承認や非承認を知覚すること(命令的規範)や、その環境での一般的な特定の行動(記述規範)を指す。命令的規範は行動に影響するが、それは命令的規範がどのような行動が最も適切なのかという情報を与えるからである。たとえば、ゴミを捨ててはいけないという規範は広く命令的規範に当てはまる。命令的規範がどの程度行動に影響を与えるのかは、どのくらい規範が人々の意識にあるのかに依る。 $ _{(\text{ア})}$ ゴミを捨ててはいけないという規範は、誰かがゴミを拾うのを見たときや、その規範が標語として書かれているのを見たときに、より人々の意識に影響を与えるであろう。記述規範は行動に影響を与えるが、それは記述規範がどんな行動が与えられた状況で最も一般的なのかについての情報を与えるからである。ゴミの散らかった状況ではゴミを散らかすのが普通であるし、それはさらにゴミを散らかすのを促すことになるであろう。命令的規範と記述規範は互いに衝突しうる。それはたとえば、ゴミを捨てることが認められていなくても、ゴミを捨てることが普通になっているような環境である。このようにして、壊れ窓理論において無秩序と記述されているような環境(たとえばゴミの散らかった状況)は、記述規範と命令的規範が衝突するような環境であると考えられる。それでは、次の疑問は、行動はどのようにしてそのような環境により影響を受けるのか、ということである。

命令的規範の与える情報は、そのメッセージと一致した記述規範の与える情報を伴うとき、より有効である。たとえば、ゴミを捨ててはいけないという規範が書かれた標識は、ゴミのない状況にあるときに、より有効である。このようにして、落書きがある状況はより多くの落書きを作り出す引き金になりうるが、それはその落書きが落書きをしてはいけないという命令的規範を邪魔するからである。壊れ窓理論に対する重要な疑問は、そのような命令的規範の阻害がまた、無秩序あるいは軽犯罪的な行動を全般に引き起こすのであろうか、というものである。私たちがここで述べる疑問は以下のようなものである。つまり、落書きをしてはいけないという命令的規範が、記述規範(落書きがそこら中に見られるような状況)と衝突するとき、より多くの人々がゴミを散らかすのであろうか、という疑問である。

命令的規範により従うことは、人々が適切に行動しようという目標を追い求める結果である。しかし、人々はまた気分を良くすることや、自らの資産を増やそうと意図された利己的な目標を追い求めるものである。これらの3つの目標はすべて衝突しうるが、一つの影響を弱めようとすることは他の一つがより影響を持つことにつながる。ある特定の状況で、人が適切に振る舞うという目標は、自分以外の他の人々が、適切に振る舞うとはしていないんだと観察したとき、弱まってしまう。そして次に、適切に振る舞うという目標が弱まることは、対立する利己的な目標を強める。たとえば、ある人が他の人が落書きをしたのを見ると、適切に振る舞わなければという気は弱まり、利己的な目標が強まるのだろうと言うことができる。このように、人は必ずしも不適切な行動を真似するわけではないが、適切であるかどうかということ以外への関心を優先させるかもしれない。こうして、一つの規範の違反は他の規範の違反の生成につながり、無秩序はある種の不適切な行動から他の種類への不適切な行動へと伝搬していく。

私たちは一般的な公共の場においていくつかの実験を行った。どの研究においても、被験者が実験者から観察されていることに気が付いていたという兆候は見られなかった。私たちは文脈的規範(参加者がそれが犯されるのを目撃していた規範)とターゲット規範(参加者により犯される規範)とを区別した。私たちは文脈的規範が犯されている示度をコントロールした。私たちは文脈的規範の違反という無秩序は、ターゲット規範の違反へと至るであろうと予測した。記述の簡単のために、不適切な行動が他の人により示されていたりする、文脈的規範が犯された状況を「無秩序状態」とよび、文脈的規範が犯されていない状況を「秩序状態」と呼ぶことにする。

研究1では、場所はショッピングエリアにあり通常自転車を停めるのに使われている通りである。秩序状態では、通りの壁はきれいにされているが、無秩序状態では落書きで覆われている。落書きを禁止する標準的な標識が通りにあり、その場所に入るすべての被験者が最低でもそれを一瞥する。参加者は自転車を取りに来たすべての人である。彼らがいないうちに、自転車にビラが貼り付けられる。ビラは白くとても目立つものである。ビラはハンドルを使えば簡単に取り除くことができる。通りにはゴミ箱がないので、「ゴミを捨てるな」ということは、そのビラを持ち帰るということである。私たちは地面に捨てられたり他の自転車にゴミとして貼り付けられたビラの数を計測した。落書きをしてはいけないという規範違反のゴミを捨てることへの影響は実に大きいものであった。秩序状態(落書きのない)では、被験者の33%がゴミを捨てたが、無秩序状態(落書きのある)では69%であった。

研究2では、駐車場において、警察の規則を文脈的規範として用い、警察により要求された「進入禁止」という規範をターゲット規範とした。そうすると、文脈的規範もターゲット規範も、一般的な社会的規範ではなく、地元の警察により設定されたルールということになる。車を取りに来る人に対して、一時的なフェンスによりメインの入り口が閉鎖され、50cmの隙間がフェンスの間に残された。隙間のすぐ隣の一時的フェンスに二つの標識を取り付けた。文脈的規範である一つの標識は、「ここのフェンスに自転車をロックしてはいけない」というものである。ターゲット規範であるもう一つの標識は、この場所の入り口は利用禁止であり、必要な人間は200m歩かなくてはいけない離れた場所にある他の入り口を使わなければいけない、と明示するものであった。秩序状態では、フェンスから離れて1m前の所に4台の自転車がロックされずに置かれていた。無秩序状態では、4台の自転車がフェンスにロックされていた。結果となる変数は、通行人がターゲット規範である「進入禁止」の標識に従い、200m離れた入り口まで歩いていくかどうかである。再び、明らかな影響が見られた。秩序状態での通行人のうち、27%がフェンスの隙間から進入したのに対して、無秩序状態では82%が進入した。

これは、民間企業により定められた刑罰を伴わないルールにも当てはまるのであろうか。研究3では、スーパーマーケットとヘルスクラブに隣接した駐車場が用いられた。そこで民間企業により設定された文脈的規範とは、自分の車に食料品を積み込んだ後、ショッピングカートをスーパーまで戻すというものであった。駐車場の入り口に注意を引くようにとても目立つように注意を引く「ショッピングカートを戻してください」というステッカーが張られた。秩序状態では、駐車場にショッピングカートは置いていなかった。無秩序状態では、4つの戻されていないカートが乱雑に置かれていた。ターゲット規範はゴミを捨ててはいけないという規範である。結果となる変数は、ドライバーが自分の車のワイパーの下に挟まれたビラを捨てるか捨てないかである。秩序状態の被験者のうち、30%がビラを捨てたが、無秩序状態では58%であった。

無秩序は目に見える規範違反のみと関連しているのだろうか。文脈的規範が耳に聞こえるだけのものであっても、効果はあるのであろうか。4番目の研究では、国家の法律を文脈的規範として取り上げた。オランダではニューイヤーイブの前の週に花火をあげることが法律で禁じられている。私たち新年の2週間前に、この法律の違反が、オランダの人人にゴミを捨てる行動を引き起こすのかどうかを確かめた。花火禁止の法律はよく知られており、違反はすぐに人々の意識にあがる。状況は絵駅の近くの自転車駐輪小屋である。秩序状態では、花火の音はしない。無秩序状態では、被験者に聞こえる距離で花火を鳴らすが、視覚的な手がかりは一切ない。私たちは被験者が自転車に取り付けられたビラを捨てるかどうかを観察した。秩序状態では、被験者の52%がゴミを捨てたが、駐輪小屋に入ってくるときに花火の打ち上げられる音を聞いた無秩序状態の被験者では、80%であった。

私たちの結論は、ある種の規範を犯すような行動がより広まるにつれ、その行動は他の規範やルールを守ることに対して、ネガティブな影響を与えるというものである。

保健衛生学科および口腔保健学科

$ \fbox{1}$ The following words appear in bold italics in the text. On the answer sheet, circle the letter indicating the best definition for each word (based on how the word is used in the text).

campaign

campaignは辞書を引くと"A series of actions advancing a principle or tending toward a particular end"あるいは"Several related operations aimed at achieving a particular goal"とある。他の語句は、

a) law 法律
b) idea 考え
c) approach 取り組み
d) mistake 誤り
e) election 選挙

であるから、c)が一番近い。

litter

litterは名詞では散らばったゴミ、動詞ではゴミを散らかすという意味。この単語自体を知らなくても、パラグラフ1の4行目"like broken windows, litter, and graffiti cause..."とあるところから、意味を推測できる。この単語は文章の中でずっと用いられるので、早い内に意味を押さえておきなさい、という親切な設問である。

a) cars 車
b) stores 店
c) pets ペット
d) signs 標識
e) trash ゴミ

なので答えはe)。

trigger

引き起こす、や引き金という意味。

a) gun 銃
b) cause 起こす
c) part 部分
d) approval 承認
e) threat 脅威

なので答えはb)。

contributed

貢献するという意味。

a) prevented 邪魔する
b) blocked 防ぐ
c) startled 驚く
d) added 加える
e) slowed 遅くする

であるから、一つ選ぶとしたらd)であろう。

setting

文章の中核となる重要な使われ方をする単語であるが、解答では「環境」と訳した。「状況」と訳しても問題ないのでは、と考えられる。

a) roadway 線路
b) location 場所
c) country 国
d) building 建物
e) culture 文化

であるから、最も適切なのはやはりb)ではないだろうか。

enhance

増強する、という意味。

a) increase 増やす
b) end 終わらせる
c) decrease 減らす
d) begin 始める
e) prevent 防ぐ

であるから、適切なのはa)。

inhibits

邪魔する、という意味。inhibit O from $ \sim$ ing で「Oが$ \sim$ するのを邪魔する」。

a) blocks 邪魔する
b) causes 起こす
c) inhabits 生息する
d) promotes 促進する
e) interlinks 関連させる

だから、答えはa)。

conformity

辞書には"Acting according to certain accepted standards"あるいは"Orthodoxy in thoughts and belied"とある。

a) creation 想像
b) concentration 集中
c) problems 問題
d) adherence 固守、執着
e) objections 標的

であるから、意味として最も近いのはd)になる。

fosters

fosterは育てる、促進する、心に抱くという意味。

a) minimizes 最小化する
b) maximizes 最大化する
c) promotes 促進する
d) prohibits 邪魔する
e) slows 遅くする

であるから、答えはc)。

manipulated

機械や道具などを操作する、処理する、という意味。

a) found 見つける
b) envisioned 心に抱く
c) recorded 録音する
d) removed 除去する
e) controlled 操作する

であるから、一番近いのはe)になる。


保健衛生学科および口腔保健学科

$ \fbox{2}$ What do the following words, which are underlined in the text, refer to? Answer using one, two, three, or four English words that can replace the underlined text.

1) it="the BWT's scientific support"

代名詞は必ずその代名詞が出てくる以前の文章内容を受ける。ここではitの指す内容は「壊れ窓理論の科学的根拠」であるが、解答としては"the BWT"あるいは"scientific support"でも良いだろう。

2) it="disorderly settings"

この問いは第3パラグラフをきっちりと読まないと解けない。文章の流れとして、規範には「命令的規範」と「記述規範」があり、パラグラフの前半でそれぞれについて説明している。パラグラフの後半で、その二つの規範が衝突する環境を説明し、最後に、ではどのように「それ」が行動に影響を与えるのか、という流れである。

ここで「それ」に相当するのは、二つの規範が衝突する環境である、"disorderly settings"である。

3) it="the contextual norm"

この問題も決して易しくはない。このパラグラフでは実験の前提条件を説明している。筆者が実験で設定した二つの規範について説明し、その二つの規範である「文脈的規範」と「ターゲット規範」とが対立していない状況を「秩序状態」、対立している状況を「無秩序状態」としているのである。itは秩序状態の説明部分で用いられており、itが冒されていない環境なので、"it=contextual norm"である。

4) they="the walls"

theyはcovered with graffitiなので、"they=the walls"である。theyは複数なので、wallも複数にして解答することに注意する。

5) it="the flyer"

take with themは「themとともに持ち帰る」で、ここでのthemは実験に参加させられることになった被験者を指す。持ち帰るのはビラであるから、"it=flyer"となる。


全学科

$ \fbox{3}$ According to the text, decide whether the following statements are true (T) or false (F). For each statement circle the correct answer on the answer sheet.

1) The campaign in New York, in the mid-1990s, led to the creation of the broken windows theory (BWT).F

「1990年代中頃のニューヨークでの取り組みが、壊れ窓理論を作り上げた」

パラグラフ1の3行目で"This campaign was based on the broken windows theory (BWT)."とある。ニューヨークの市長と警察本部長が、壊れ窓理論に基づき取り組みを開始したのであって、取り組みが壊れ窓理論を作り上げたわけではない。

2) Since the New York campaign, the BWT has been shown to be successful in many countries including the Netherlands, Great Britain, Indonesia, and even South Africa.F

「ニューヨークでの取り組み語、壊れ窓理論はオランダ、イギリス、インドネシア、南アフリカといった多くの国で、成功を収めた」

パラグラフ1には壊れ窓理論が世界的に流行になったとは書いてあるが、成功を収めたとは書いていない。むしろ、筆者はパラグラフ2において、壊れ窓理論には科学的根拠が欠ける、と指摘している。

3) Research done to test the BWT sometimes provided support for the theory, but not always.T

「壊れ窓理論を検証する研究は理論を支持する結果を出すこともあったが、いつもそうではなかった」

パラグラフ2の1行目に"Studies designed to test it have provided mixed results."とある。mixed resultsは「まちまちな結果」。

4) The authors believe the sharp decrease in petty crime in New York is clear evidence of the scientific basis of the BWT.F

「筆者は、ニューヨークにおける軽犯罪の著明な減少は、壊れ窓理論の科学的根拠となる明らかな証拠であると信じている」

パラグラフ2の冒頭で「壊れ窓理論は流行であるが、科学的根拠がない」と述べている。

5) Whereas a descriptive norm refers to behavior common in a particular place, an injunctive norm refers to whether or not a behavior is approved of.T

「記述規範がある特定の場所で普通とされる行動を指すのに対して、命令的規範は行動が承認されるかどうかについて言及する」

第3パラグラフの内容そのものである。

6) Both injunctive norms and descriptive norms always help to decrease disorder.F

「 命令的規範と記述規範は常に無秩序を減らすのに役に立つ。」

第3パラグラフに"Injunctive and descriptive norms can be in conflict."とある。

7) In an ordered condition, a descriptive norm is likely to be the result of people following one or more injunctive norms.T

「秩序状態では、人々が一つ以上の命令的規範に従おうとするので、記述規範が結果となりやすい」

第5パラグラフの冒頭に"Much conformity to injunctive norms is the result of people pursuing the goal of acting appropriately."とある。文章を総合的に判断しないと難しい。

8) The power of injunctive norm is enhanced when paired with consistent descriptive norm information.T

「命令的規範の力は、記述規範の与える情報と一致するときに、より強くなる」

これも第5パラグラフの冒頭と一致する。

9) Seeing someone painting graffiti will never increase a viewer's likelihood of painting graffiti.F

「誰かが落書きをするのを見ても、見る人が落書きをする可能性を増やさない」

第4パラグラフに"...a setting with graffiti can trigger the creation of more graffiti..."とあるので、間違い。

10) In a littered setting, the descriptive norm may be in conflict with the injunctive norm.T

「ゴミの散らかる環境では、記述規範は命令的規範と衝突する」

第3パラグラフの内容。

11) When people observe that others did not behave appropriately, it is likely that their concern for being appropriate will be weakened and as a result, their selfish goals may be strengthened.T

「他の人が適切に行動していないのを見ると、人が適切に行動しようという関心は弱められ、結果として利己的な目標が強まる」

第5パラグラフに"In a given situation, the goal to act appropriately is weakened when people observe that others did not purse the goal to act appropriately."とある。

12) People's selfish desires can threaten the effectiveness of injunctive norms because they tend to be in conflict with the idea of social conformity.T

「人々の利己的な欲望は命令的規範の効果を脅かしうるが、それは利己的な欲望が社会的追従という理想と衝突しやすいからである」

第5パラグラフの内容である。

13) Some subjects were informed before the experiment that they would be observed by an experimenter.F

「被験者の内何人かは実験前に、実験者が観察していることを知らされていた」

第6パラグラフに"There were no signs in any of the studies that the subjects were aware of being observed by the experimenter."とあるので、間違い。

14) In study 1, "not littering" was defined as throwing the flyer away into the nearby garbafe can.F

「研究1では、ゴミを捨てていない、というのは、近くのゴミ箱にビラを捨てたこと、と定義された」

第7パラグラフに"there were no trash cans in the alley,"とあるので間違い。

15) In study 1, when a standard sign prohibiting graffiti was placed in an alley, people collecting their bicycles were less likely to litter.F

「研究1では、落書きを禁止する標準的な標識が通りに置かれたとき、自転車を取りに来る人々はゴミをより捨てなかった」

秩序状態でも無秩序状態でも、落書きを禁止する標識は置かれている。異なるのは、通りの壁に落書きがあるかないか、である。

16) Study 1 found a 33% increase in littering in the disorder condition, as compared to the order condition.F

「研究1では、秩序状態に比べて、無秩序状態では33%ゴミが多かった」

秩序状態で33%、無秩序状態で69%とあるので、数字が違う。正しくは36%である。

17) In studey 2, the percentage of those who trespassed (i.e., entered through the gap in the fence) was substantially lower in the order condition.T

「研究2では、フェンスの間から入り込み、進入禁止の標識を乗り越えた人の割合は、秩序状態でより低かった」

パラグラフ8の研究2の結果である。正しい。

18) In study 3, the percentage of those who littered was higher in the disorder condition where shopping carts were left unreturned.T

「研究3では、ゴミを散らかした人の割合は、ショッピングカートが返されずにあった無秩序状態でより高かった」

パラグラフ9の研究3の結果である。正しい。

19) The findings of sudy 3 support the validity of the BWT in cases where private companies make rules.T

「研究3の結果は、民間企業がルールを設定した場合における壊れ窓理論の妥当性を指示する」

研究3の結果を考えると、正しい。

20) Study 3 demonstrated that a clear, visible sticker with the text "please return your shopping carts" prevented littering even though four shopping carts were standing around in disarray.F

「研究3は「ショッピングカートをスーパーに返してください」という目立ったステッカーが、4つのショッピングカートが散らばった状況でも、ゴミを散らかすことへの抑止になることを示している」

どこにもそのような内容は書かれていないので、間違い。

21) Study 4 demonstrated that seeing people breaking a law (in this case, setting off firecrackers) has an influence on littering.F

「研究4は、他の人が法を犯すのを見ると、ゴミを捨てる行為に影響を与えることを示した」

研究4はnormの聴覚による影響を調査したものであるから、間違い。

22) Based on the results of the four studies, it appears that disorderly or norm-violateing behavior has a bad effect on the way people observe other social and injunctive norms (hence disorder will grow and expand).T

「4つの研究の結果に基づくと、無秩序あるいは規範を犯す行動は、他の人が他の社会的規範や命令的規範を遵守するやり方に悪影響を与えることが明らかである(無秩序は拡大する)」

最終パラグラフで筆者の述べる内容がこれに当たる。

23) In more than half of the settings created in the four experiments, descriptive norm information and injunctive norm information was in conflict.F

「4つの研究において作られた環境のうち半分以上で、記述規範の与える情報と命令的規範の与える情報が衝突していた」

4つの研究は記述規範の与える情報と命令的規範の与える情報が一致する「秩序状態」と、二つの規範の与える情報が一致しない「無秩序状態」を作って行われたので、間違い。

24) The authors' observations strongly suggest that a situation with graffiti would generally reduce the injunctive power of signs such as "No Smoking". T

「筆者の観察は、落書きのある状況では、一般的に、「喫煙禁止」といった命令的規範の標識の効力は弱まることを強く支持している」

これも最終パラグラフの内容である。


医学科と歯学科のみ

$ \fbox{4}$ Briefly (in 15 to 25 words) answer the following questions in your own words, using complete English sentences.

1) Summarize the findings related to the increased littering found in studies 1, 3, and 4 and present the average increase.
answer "In the disorder condition, about 30% more people on average littered compared with the number of people in the order condition.(21語)"

無秩序状態ではより多くの人がゴミを散らかすことを英語でまとめる。割合はaboutでいい。

2) Contrast the design of studies 1 and 4, then briefly explain their common findings.
answer "In study 1, visual cues were used whereas in study 4 an audible one was used. Both showed similar results.(20語) "

研究1では視覚の影響、研究4では聴覚の影響について調査したことと、どちらも似たような結果であったことをまとめる。

3) Imagine that there is one more sentence at the very end of the article which starts with the words "Thus there is a clear message for policymakers and police officers; ...". Complete this additional sentence by providing the authors' recommendation(s).
answer "in order to fight disorder, removing early signs of petty crime such as removing graffiti or cleaning the streets is very important.(22語)"

セミコロンで終わっている文章なので、小文字で始める。無秩序状態を無くすには、落書きの除去や街をきれいにするといった、軽犯罪への対策が効果的であることをまとめる。


全学科

$ \fbox{5}$ 下線部(ア)と(イ)を日本語に訳しなさい。

(ア)ゴミを捨ててはいけないという規範は、誰かがゴミを拾うのを見たときや、その規範が標語として書かれているのを見たときに、より人々の意識に影響を与えるであろう。

on people's mindは「人々の意識にあがる」。難しい単語はないので簡単であろう。

(イ)このように、人は必ずしも不適切な行動を真似するわけではないが、適切であるかどうかということ以外への関心を優先させるかもしれない。

may let concerns other than appropriateness take priorityは「適切さ以外の関心を優先させるかもしれない」。let concerns take priorityで「関心を優先させる」で、その関心にother than appropriateness「適切さ以外の」という語がついている。意味は分かってもやや訳しにくいかもしれない。


全学科

$ \fbox{6}$ 本文中で紹介されている四つの研究は、基本的には同じような条件下に被験者を置くことで行われています。その条件はどのようなものですか。また、どのようなことが検証されていますか。本文中の例を用いて300字以内で説明しなさい。なお、以下のキーワードを必ず用いること: 規範("norms")、秩序("order condition")、無秩序("disorder condition")

被験者が実験者に観察されていることに気が付いていないという条件の下で、公共の場に人為堤に設定された環境で実験は行われた。ゴミや落書きのない秩序の整った環境と、ゴミや落書きのある乱雑で無秩序な環境に被験者を置いて、命令的規範と記述規範の乖離が被験者の行動にどのような影響を与えるのかが調査された。二つの規範が一致する、秩序のある環境では、被験者は他の規範も守る傾向にあるが、規範に乖離がある無秩序な環境では被験者は他の規範も破りやすい。結果として、ある一つの規範が守られていない環境では、他の規範も守れなくなる傾向があることが分かった。(286語)

条件と、その条件下で検証されていることを中心にまとめる。条件だけをまとめると字数が大幅にたりないので、解答ではその結果についても簡単に触れた。「どのようなことが検証されているのか」と聞かれている以上、結果に触れないわけにはいかないから、これでよいのだろう。


全体講評

使われている単語は決して難しくはないが、文章はやや抽象的で意味が掴みにくかったかもしれない。研究例が4つ挙げられているので、それをよく読みどのような内容の文章なのかを把握することが大切である。

最後の要約は、年々文字数が少なくなっている。今年は数学と同様、医学科歯学科と、その他の学部で問題が分けられたが、今後もその傾向が継続するかどうかは不明である。

単語は難しいものを覚えるよりも、高校で標準的に学ぶ内容をしっかりと押さえておくことが重要である。

日頃の対策としては、CNNやBBCといった、海外の一般向けニュースサイトで、科学欄にある記事を読み、要約を作ることなどが有効である。本問題はScienceからの出題であるが、専門的な用語が多く、内容も難しいので、本格的なjournalを読む必要はないだろう。

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