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東京医科歯科大学2007年度入試問題数学解説

90分、120点。


$ \fbox{1}$ レベル:$ \beta$ 、解答時間:25分

空間図形の問題ですが、表面積というやや珍しい素材を扱っています。

$ (1)$
ここで間違うと、$ (1)$ の結果を使う$ (2),\ (3)$ も全部間違ってしまいます。医科歯科大学の数学では、大問の$ (1)$ は簡単な問題が出題されます。ここは多少時間を掛けても、慎重すぎるほど慎重に取っていきましょう。

扇形の面積は、 展開図を考えたとき、円弧の部分を底辺(図の$ 2\pi r$ )、 $ \sqrt{r^2+h^2}$ を高さとする三角形と考えると、覚えやすいのではないでしょうか。三角形の面積は、底辺$ \times$ 高さ $ \times\dfrac{1}{2}$ で、図の扇形の面積も、 $ 2\pi r\times \sqrt{r^2+h^2}\times \dfrac{1}{2}$ となっていますね。

\includegraphics[width=60mm]{2.eps}

$ (2)$
$ (1)$ を使います。今度は、「側面積」ではなく「表面積」ですので、上下の円の面積も答えに含めなくてはいけません。問題文を慎重に読まなくてはなりませんね。

$ (3)$
$ Q$ の座標は $ \sqrt{3}(\cos{\theta},\ \sin{\theta})$ と置いても良いでしょう。解答のように置いても、どちらでも手間は変わりません。

結局微分が必要になりますが、このくらいはたいしたことはないでしょう。

$ (1),\ (2)$ とは違って、今度は$ PQ$ の動いた部分の面積だけを求めます。


$ \fbox{2}$ レベル:$ \omega$ 、解答時間:40分

厳しい出題です。試験場ではほとんどの受験生の方が白紙、もしくは、かろうじて$ (1)$ を確保、という状況だったようです。

$ (1)$
そもそも点$ Q$ がどのような動きかたをするのかを把握するだけで、大分時間が取られてしまいます。家でゆっくりと解くのとは違い、試験場では、必要以上に難しく見えてしまったことでしょう。具体的に考えてください、という問題なのですが、 $ p_2,\ {p^{\prime}}_1$ を考え始めたあたりで頭痛がしてきます。

$ p_1$ は条件$ (a)$ そのままですから、これだけでも記述しておきたいですね。グラフを書いて、条件をよく読むと、点$ (2,\ 0)$ に進むのも、点$ (2,\ 1)$ に進むのも、それほど多くの進み方はないことがわかります。ここでは、具体的にルートを書き上げてしまった方がよいでしょう。

$ (2)$
補助として、点$ Q$$ x=k$ で停止する確率を持ち出します。そのような確率を $ q_k\ (k=0,\ 1,\ 2,\ \cdots)$ とすると、点$ Q$$ x=n$ に到達できる確率は、

$\displaystyle 1-\sum_{k=0}^{n-1}{q_k}
$

となります。ここまで設定できたら、後は実際に $ q_0,\ q_1,\ q_2$ を求めてしまうのが早いでしょう。その際、$ (1)$ $ p_2,\ {p^{\prime}}_2$ が利用できます。

$ (3)$
漸化式を設定します。立ててみよう、と思う気にさえなれば、漸化式は簡単に解けるのですが、そこまで辿り着かなかった方も大勢いたことでしょう。

余談ですが、この問題の出来は大変悪かったようで、受験生のみならず、予備校の解答作成者の方も苦労されたようです。噂ですが、大手予備校(Y, K, S)の内、「Kの解答が一番優れている(問題作成者談)」とのことでした。今現在は、ネット上でこの解答を読むことはできません。


$ \fbox{3}$ レベル:$ \gamma$ 、解答時間:30分

行列の成分計算です。文字が多く現れるので、うまく誘導に乗れなかった方は、苦労されたのではないでしょうか。

$ (1)$
$ (1)$ から躓きかねない問題です。わざわざ $ NA=BM^{-1}$ と書かれているので、これをそのまま成分計算した受験生の方も大勢いたことでしょう。それでも解けないことはないのですが、やや面倒になります。その場合、成分計算を進め、$ ad-bc=1$ $ d=\cdots ,\ b=\cdots$ とした式を代入すると、うまく $ 6a^2+20ac+17c^2$ が現れます。

$ (2)$
$ (1)$ もやや不自然ですが、この問題には大きな疑問が残ります。誘導のように、そのまま$ 2a^2+b^2$ を出すには、 $ NA=BM^{-1}$ を変形して、 $ A=N^{-1}BM^{-1}$ とします。この形で成分計算を行うと、うまく$ 2a^2+b^2$ が出てくるのですが、そんなことをする必要はなく、解答のように$ (1)$ から $ a,\ b,\ c,\ d$ の値が求まってしまいます。

$ (1)$ だけから $ a,\ b,\ c,\ d$ が求まるのに、$ (2)$ の性でそれに気が付かず、無駄な時間を浪費された受験生の方も多かったことでしょう。誘導の流れとしては、 $ 2a^2+b^2=17$ から、$ a,\ b$ の組を求めされるつもりだったのでしょうが・・・

$ (3)$
$ (2)$ ができていれば、簡単ですね。

$ (4)$
$ (3)$ までで、 $ a,\ b,\ c,\ d$ の値が正しく出ていないと、この問題は解けません。出てさえいれば、単なるサービス問題となり、点差は広まってしまいます。

$ (5)$
この問題も$ (4)$ までができてさえいれば、スラスラと解けるのですが・・・

ちなみに、 $ 6x^2+20xy+17y^2=59$ を満たす整数$ x,\ y$ を直接求めることもできます。それには、この式を$ x$ の二次方程式 $ 6x^2+20yx+17y^2-59=0$ と見て、判別式が正になることから、


$\displaystyle D^{\prime}$ $\displaystyle =$ $\displaystyle {(10y)}^2-6\cdot (17y^2-59)$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle -2y^2+6\cdot59$  
  $\displaystyle >$ $\displaystyle {0}$  

ですから、 $ y^2<3\cdot 59=177$ です。これより、$ \vert y\vert<14$ となりますから、後は $ -13\leqq y\leqq 13$ について一つ一つ調べれば良いのです。この方法でも、それほど時間はかからないでしょう。 $ (1)\sim (4)$ でうまく誘導に乗れなかった方は、$ (5)$ だけ解くのも一案です。


全体講評

$ \fbox{1}$ は確実に取りたいが、試験場では「表面積」「側面積」を取り違えてしまうミスに気をつけたい。

$ \fbox{2}$ は難しく、確率が相当得意な方でも難航したことだろう。

$ \fbox{3}$ は誘導がやや不自然で、文字が多く現れるので混乱しやすい。それでも、十分な演習を積んだ受験生の方には、やりごたえのある問題である。

実際の合格者は、 $ \fbox{1},\ \fbox{3}$ は確実に押さえている。$ \fbox{2}$ は難しいので、$ \fbox{3}$ の出来が合否の分かれ目になったものと推測される。

医学科で $ \fbox{1},\ \fbox{3},\ \fbox{2}(1)$ を押さえて全体で6割以上、歯学科で $ \fbox{1},\ \fbox{3}$$ (3)$ まで、 $ \fbox{2}(1)$ を押さえて全体で5割強、その他の学部で4割5分以上が合格ラインであったと考えられる。時間的余裕はなく、未知の問題にも挑戦する質の高い毎日の演習が求められている。

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