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東京医科歯科大学2005年度入試問題数学解説

90分、120点。


$ \fbox{1}$ レベル:$ \beta$ 、解答時間:30分

漸化式で定義された数列の求め方についての問題です。

$ (1)$
標準レベルの問題です。解答ではやや丁寧に漸化式を解きましたが、次の事実を用いても良いでしょう。

定理 漸化式 $ a_{n+2}+aa_{n+1}+ba_n=0$ で定義された数列$ \{a_n\}$ は、

$\displaystyle a_n=A{\alpha}^n+B{\beta}^n
$

と表すことができる。ただし、$ A,\ B$ は定数で、 $ \alpha,\ \beta$ は二次方程式 $ t^2+at+b=0$ の解である。

これは、 $ \alpha,\ \beta$ が実数でも虚数でも成り立ちます。証明は特にしませんが、解答のような漸化式の解き方を考えてみれば、当たり前に思えるでしょう。なお、 $ \alpha=\beta$ のときにはこれは成り立ちません。上の $ t^2+at+b=0$ のことを、特性方程式といいます。

この事実を用いると、問題の数列は $ a_n=A2^n+B{\left(\dfrac{1}{2}\right)}^n$ とおけます。 $ a_1=\dfrac{1}{2},\ a_2=\dfrac{7}{4}$ から、

\begin{displaymath}
\begin{cases}
2A+\dfrac{B}{2}=\dfrac{1}{2} & \\ \\
4A+\dfrac{B}{4}=\dfrac{7}{4} &
\end{cases}\end{displaymath}

となり、$ A,\ B$ を求めれば数列$ \{a_n\}$ は求めることができますね。この方法で問題を解決しても、全く問題ないと思います。

$ (2)$
$ (1)$ を利用しますが、ここでも次の定理が成り立ちます。

定理 漸化式 $ a_{n+3}+aa_{n+2}+ba_{n+1}+ca_n=0$ で定義された数列$ \{a_n\}$ は、

$\displaystyle a_n=A{\alpha}^n+B{\beta}^n+C{\gamma}^n
$

と表すことができる。ただし、$ A,\ B,\ C$ は定数で、 $ \alpha,\ \beta,\ \gamma$ は三次方程式 $ t^3+at^2+bt+c=0$ の解である。

これは、証明なしで使うのは多少問題があるのかもしれません。証明は、大学の理系学部で学びます。これを用いなくても、与えられた漸化式の「階差」的なものを考える、という発想は、それほど不自然ではないでしょう。


$ \fbox{2}$ レベル:$ \gamma$ 、解答時間:30分

$ (1)$
式で解いてもいいのですが、グラフを丁寧に描いて、視覚的に確認しながら解くのが良いと思います。

$ (2)$
これは問題の流れとは関係のない小問です。確実に取るようにしましょう。

$ (3)$
素直にやると結構やっかいです。$ (1)$ がヒントになっていますので、うまく使うようにしないと時間がいくらあっても足りません。

$ 0<\theta<\dfrac{\pi}{3},\ \dfrac{4\pi}{3}<\theta<\dfrac{3\pi}{2}$ を順に区間1、区間2としますと、 $ \theta_1,\ \theta_2$ の位置によって、3通りの場合分けが生じます。

ところが、少し考えてみると、この区間両方で $ y=\sin{2\theta}$ は単調ですから、$ \theta_1$$ \theta_2$ が同じ区間に含まれることはありません。

このことに気が付くと、だいぶ時間が節約できます。

$ \sin{\alpha}=\sin{\beta}$ を解く際には、三角関数の和積公式を用います。暗記に頼ってもいいのですが、解答のように一から作る方法を覚えておかれると、試験場で困ることもなくなります。試しに、 $ \cos{\alpha}-\cos{\beta}$ を三角関数の積の形で表す練習をしてみるとよいでしょう。3回も紙に書いてみると、簡単に方法が飲み込めると思いますよ。

$ (4)$
$ (3)$ が解けてホッとしても、まだまだ先は長いです。

曲線$ C$$ y$ 軸および原点に対して対称であることを用いることになります。これに気が付かないと、$ (3)$ の過程を$ x<0$ かつ$ y<0$$ x>0$ かつ$ y<0$ 、または$ x<0$ かつ$ y>0$ の残り3通りに対して繰り返すことになりますが、さすがにいくら何でも時間が足りません。

実際に手を動かし始めて、何かおかしい、と思ったら、対称性に気が付くのもそれほど困難ではないでしょう。

残りは、軸上で自身と交わる場合も忘れないようにしないといけません。正確に個数を数え上げることのできた方は、三角関数の処理に関して、相当の自信を持っても良いでしょう。

曲線$ C$ は、リサージュ図形と呼ばれるものの一種です。(Wikipediaリンク:リサージュ図形)

\includegraphics[width=70mm]{4.eps}

確かに自身との交点が7個であることがわかりますね。


$ \fbox{3}$ レベル:$ \gamma$ 、解答時間:30分

$ (1)$
$ (1)$ から手が出ない、という方も多かったことでしょう。難問です。条件 $ f^{\prime\prime}(x)<0$$ y=f(x)$ のグラフが上に凸であることを表していますから、このことをうまく使う必要があります。

余談ですが、「 $ f^{\prime\prime}(x)<0$ のとき、関数は上に凸だっけ、下に凸のどっちだっけ」と迷ったときには、$ y=x^2$ を思い出してみると良いでしょう。 $ y^{\prime}=2x,\ y^{\prime\prime}=2>0$ ですから、二回微分が正のときには関数は下に凸であることがわかります。

解答のような発想は、触れたことのない方にはとっても高度に感じられるかもしれませんが、受験では時々見かけます。一度触れたことさえあれば、次からは簡単に感じると思いますし、医科歯科では過去にもこの考え方が必須であった問題 東京医科歯科大学1992年度問題$ \fbox{1}$が出題されていますので、解答をよく読んで吸収されておけば、ばっちりだと思いますよ。

なお、$ (1)$ ではグラフを描いて、面積を比較する図形的な解法も考えられます。そちらも有力な解法ですので、余力のある方は是非試してみてください。

$ (2)$
当然$ (1)$ を使いますが、そのままでは解決しません。どんな方法でも、最後に必ず $ \displaystyle \int_{n-\frac{1}{2}}^{n}{f(x)dx}<\dfrac{1}{2}f(n)$ を示す必要があります。面積を考えても良いのですが、解答では積分の平均値の定理を用いています。

積分の平均値の定理 区間$ [a,\ b]$ で積分可能、有界、連続な関数$ f(x)$ に対して、

$\displaystyle \dfrac{1}{b-a}\int_{a}^{b}{f(x)dx}=f(c)
$

を満たす実数 $ c\ (a<c<b)$ が存在する。

簡単ですので、これを示してみましょう。まず、区間$ [a,\ b]$ において$ f(x)$ は有界ですから、最小値と最大値が存在します。これをそれぞれ$ m,\ M$ としましょう。すると、 $ m\leqq f(x)\leqq M$ です。これを$ a$ から$ b$ まで積分すると、

$\displaystyle m(b-a)\leqq \int_{a}^{b}{f(x)dx}\leqq M(b-a)
$

です。変形して、

$\displaystyle m\leqq \dfrac{1}{b-a}\int_{a}^{b}{f(x)dx}\leqq M
$

ですが、これより $ \displaystyle \int_{a}^{b}{f(x)dx}$$ m$$ M$ の間にありますから、$ =f(c)$ となるような$ c$ が、$ [a,\ b]$ に存在します(証明終わり)。

$ (3)$
$ f(x)=\log{x}$ としますが、$ (2)$ を使う前に、これが条件 $ (i),\ (ii),\ (iii)$ を満たすことをきちんと確かめないといけません。

あとは問題の形になるように、ひたすら計算です。

きちんと高校の範囲で、こんなに複雑な極限も求めることができるのは、面白いですね。

全体講評

簡単に取れるのは $ \fbox{1}(1),\ \fbox{2}(1),\ (2)$ くらい。後はどれも難しい。 $ \fbox{1}(2)$ はある程度の知識がないと、手も足も出ないかもしれない。

$ \fbox{2}(3),\ (4)$ は面倒なので、$ \fbox{3}$ に時間をかけたいが、$ (1)$ から躓いた受験生も多かったであろう。$ (1)$ を解かずに、$ (1)$ の結果だけを使えば、$ (2),\ (3)$ も解くことができるが、どのような採点が行われるのかは不明である。

処理力、発想力、どちらもかなり高度なレベルを受験生に求めている。ただ、演習を積めば、パッと見で初見であるような問題は見あたらないので、日々の地道で意識の高い演習が、もっとも効果的であろう。特に、 $ \fbox{1},\ \fbox{3}$ のような問題では、演習の有無が結果を分けたものと考えられる。

医学科で5割5分以上、その他の学部でできれば5割以上は取りたい。 $ \fbox{2}(3),\ (4)$ にどれだけ時間をかけられたかが、ポイント。

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