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東京医科歯科大学1993年度入試問題数学解説

90分、120点。


$ \fbox{1}$ レベル:$ \beta$ 、解答時間:30分

$ (1)$
普通に計算します。

$ (2)$
$ (1)$ の結果をよく吟味すると、ほとんど計算することなく結果を得ることができます。

対称移動の行列について、少し詳しく見てみましょう。平面上の直線$ y=mx$ についての対称移動を表す行列は、 $ \tan{\theta}=m$ としたとき、 $ \left(\begin{array}{cc}\cos{2\theta} & \sin{2\theta} \\ \sin{2\theta} & -\cos{2\theta}\end{array}\right)$ と表すことができます。これは、まず回転行列

$\displaystyle \left(\begin{array}{cc}\cos{(-\theta)} & -\sin{(-\theta)} \\ \-\s...
...}\cos{\theta} & \sin{\theta} \\ -\sin{\theta} & \cos{\theta}\end{array}\right)
$

によって、図形全体を$ -\theta$ だけ回転させた後、$ x$ 軸に関する対称移動行列

$\displaystyle \left(\begin{array}{cc}1 & 0 \\ 0 & -1\end{array}\right)
$

を作用させて、その後で再び図形全体を$ \theta$ 回転させて元に戻すことと分解して考えることができます。この行列は、一次変換が左から順番に作用させることに注意して、

$\displaystyle \left(\begin{array}{cc}\cos{\theta} & -\sin{\theta} \\ \sin{\thet...
...}\cos{\theta} & \sin{\theta} \\ -\sin{\theta} & \cos{\theta}\end{array}\right)
$

となります。計算すると、 $ \left(\begin{array}{cc}\cos{2\theta} & \sin{2\theta} \\ \sin{2\theta} & -\cos{2\theta}\end{array}\right)$ を得ることができます。なお、

$\displaystyle \left(\begin{array}{cc}1 & 0 \\ 0 & -1\end{array}\right)
$

$ x$ 軸に関する対称移動行列であることは、

$\displaystyle \left(\begin{array}{cc}1 & 0 \\ 0 & -1\end{array}\right)\left(\be...
...ay}{c}x \\ y\end{array}\right)=\left(\begin{array}{c}x \\ -y\end{array}\right)
$

であることから分かります。

\includegraphics[width=40mm]{4.eps}

$ (3)$
計算だけで推し進めようとすると到底解くことはできません。$ (1),\ (2)$ をヒントに、図形的に考えましょう。一般に、ある曲線上の$ 2$ 点の最小距離を考える問題の場合、計算だけでは解くのは難しく、図形的な考察がポイントになることが多いようです。


$ \fbox{2}$ レベル:$ \beta$ 、解答時間:30分

$ (1)$
十分に注意深く解きます。問題の意味に慣れてください、ということでしょう。

$ (2)$
解答では列挙していますが、そうせずとも個数は分かります。色々な解き方があると思いますが、$ 1$ の個数で場合分けするのが簡単でしょう。

$ (3)$
$ 1122$ と掛け合わせるので、どの桁の数字も$ 1122$ よりも小さくはなりません。$ (2)$ を利用して、数え上げるのが楽でしょう。

$ (4)$
どうせ$ (5)$ ですべて求めるので、これは適当に済ましてしまいましょう。

$ (5)$
互いの積が$ Z$ に含まれないペアを考えるのが楽です。たいした個数ではないので、全部挙げてしまってもいいのですが。


$ \fbox{3}$ レベル:$ \beta$ 、解答時間:30分

$ (1)$
合成関数の微分については、よく理解するようにしましょう。

$ (2)$
$ t$ の正負によって場合分けが生じますが、結果は同じになります。 $ \dfrac{dS}{dt}=\dfrac{5}{2}\left(\dfrac{1}{\sqrt{1-{(t+h)}^2}}-\dfrac{1}{\sqrt{1-t^2}}\right)$ が出た後、それ以上微分する必要はありません。単純な関数の形ですので、解答程度の考察で十分でしょう。

$ (3)$
計算問題ですが、たいしたことはありません。


全体講評

全体として穏やかなセット。高得点での争いになったのではないだろうか。

$ \fbox{1}$ は簡単な$ (1)$ が大きなヒントになっている。一次変換の問題では、計算でゴリゴリ押す問題と、意味をよく考えればすぐに解ける問題がある。前者のタイプも医科歯科ではよく出題されているが、計算をはじめる前に少し意味を考えると、時間的に大きなアドバンテージを得ることができるだろう。$ (2)$$ (3)$ のための良いヒントになっている。$ (3)$ はそのまま解こうとしても難しい。

$ \fbox{2}$ は集合の要素の積の問題であるが、難しくはない。どの小問も、すべて数え上げようとしてもたいした手間はかからない。試験場でも最後まで解ききった受験生も多かったのではないだろうか。

$ \fbox{3}$$ (1)$ で躓いてはいけない。$ (2)$ は場合分けが生じるかと思い躊躇する必要はなく、$ S$ は一通りで表すことができる。$ (3)$ の計算も標準的レベル。

全体として、医学科では8割以上、歯学科も同程度、その他の学部では最低6割は取りたい。行列に関連した計算問題は医科歯科では2010年度現在でもよく出題されている。十分な対策が必要とされる分野であろう。

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