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東京医科歯科大学1989年度入試問題数学解説

90分、120点。


$ \fbox{1}$ レベル:$ \beta$ 、解答時間:25分

$ (1)$
「内分」ではなく「外分」であることにご注意を。下手に難しく考える必要はありません。点$ P$ が半径$ 1$ の球を描き、点$ A$ は定点ですから、 $ 4\overrightarrow{OP}-3\overrightarrow{OA}$ がどんな図形なのかはすぐに分かります。

$ (2)$
球面$ S$ 上を動く点を考えると、収拾がつかなくなります。$ (1)$ の球の中心を主役にすると、変数が$ 1$ つだけなので簡単です。最後に $ \sqrt{157}$ から球の半径を引いておくのを忘れないように気をつけましょう。


$ \fbox{2}$ レベル:$ \beta$ 、解答時間:30分

$ (1)$
与えられた条件$ (b)$ の左辺は、商の微分の分子に現れる式であることに気が付けば、条件$ (b)$

$\displaystyle {\left\{\dfrac{g(x)}{f(x)}\right\}}^{\prime}=\dfrac{h(x)}{{\{f(x)\}}^2}
$

と変形して、答えを求めることができます。積分をしなくても良いので計算が楽になりますが、解答のように微分をしてから積分、という方法で十分でしょう。

解答では $ g^{\prime\prime}(x)=2\sin{x}+x\cos{x}$ を積分する場面で、部分積分を用いずに、いきなり答えが出ていますが、少し詳しく解説します。この場合、 $ g^{\prime\prime}(x)$ の式をじっと眺めて

$\displaystyle g^{\prime}(x)=ax\sin{x}+b\cos{x}+C
$

という形になるので、と予想します。この式を微分すると、

$\displaystyle g^{\prime\prime}(x)=(a-b)\sin{x}+ax\cos{x}
$

となります。これと、最初の式

$\displaystyle g^{\prime}(x)=2\sin{x}+x\cos{x}
$

を比べて、 $ a-b=2,\ a=1$ としているわけです。 $ g^{\prime}(x)$ を積分するところでも同様に、部分積分なしで直接求めています。

一般に、積分を行うよりも微分をする方が簡単ですから、この方法を身につけておかれると試験場ではきっと役に立つはずです。試しに、 $ e^{-x}\sin{x}$ を積分せよ、という問題が出たときに、普通に部分積分をくり返していると、高い確率でミスをしてしまいそうです。ここは、式をじっと眺めて、積分結果が $ e^{-x}(a\sin{x}+b\cos{x})$ という形になるのでは、と予想しておいて、これを微分して、


  $\displaystyle =$ $\displaystyle -e^{-x}(a\sin{x}+b\cos{x})+e^{-x}(a\cos{x}-b\sin{x})$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle e^{-x}\{(-a-b)\sin{x}+(-b+a)\cos{x}\}$  

とします。後はこれを $ e^{-x}\sin{x}$ と見比べて、定数$ a,\ b$ を決めてやれば良いのです。この過程はもちろん答案に書く必要はありません。

$ (2)$
これも$ (1)$ と同じく微分してから積分するのが簡単でしょう。

$\displaystyle 2\int_{0}^{x_0}{g(x)dx}=x_0g(x_0)+\dfrac{{x_0}^3}{3}
$

のままだとゴチャゴチャしてしまいますから、添え字は外してしまって構わないでしょう。出てきた答えはは条件$ (a)$$ (c)$ を使って導いたものですので、最後に条件$ (b)$ も満たしていることを確認しておきます。


$ \fbox{3}$ レベル:$ \gamma$ 、解答時間:40分

難問です。集合 $ \{x\vert x\in A,\ g(x)=x\}$ の意味を掴むまで時間がかかります。たとえば、

$ f(1)=2,\ f(2)=3,\ f(3)=6,\ f(4)=4,\ f(5)=1,\ f(6)=2$ だったとき、$ f(i)=i$ となっているのは$ i=4$ のときだけですから、$ K(f)$$ \{4\}$ となるわけです。

$ (1)$
これはなんとか確保したい問題です。問題文の意味が分からなくても、$ (1)$ は取れるはずです。

$ (2)$
文字がチカチカするので、試験場では$ (2)$ 以降は全滅、という方も少なくなかったことでしょう。題意を読み取れれば$ (2)$ は全く難しくはないのですが・・・

$ (3)$
この問題も問題文の意図が読み取れれば難問という訳ではないのですが、時間制限のある試験場では難しいでしょう。条件付き確率は医科歯科大学では出題範囲外ですが、定義くらいは押さえておいて損はないと思いますよ。過去にも、東大や防衛医科大など、出題範囲外と言っておきながら、実質的に出題されている大学も多くあります(条件付き確率(wikipediaより))

この問題の場合、$ A$ から$ A$ への写像ですから、「上への写像」となっているときは、すなわち$ 1$$ 1$ の写像となります。ですから、$ (1)$ で求めた確率が利用できます。なお、今は「上への写像」という言葉はあまり使われません。簡単に「全射」といいます((全射(wikipediaより)))。

$ (4)$
$ K(f\circ f)=A$ という条件が強いので助かります。ちなみに、他の大学の入試問題では、$ K(f)$ が空集合になる確率を求めさせる問題もたびたび出題されています。この場合の数の子とは完全順列あるいはモンモール数とよばれていて、大変難しいのですが、余裕のある方は眺めておかれるとよいでしょう(完全順列(wikipediaより))


全体講評

まず $ \fbox{1},\ \fbox{2}$ を確保。$ \fbox{3}$$ (1)$ は必須であるが、その後は他の強化との兼ね合いで、できる限り粘りたい。医学科受験生で7割、歯学科受験生で6割、他の学科の受験生ですくなくとも5割は取りたい。写像に関しては教科書でも必ず扱われているはずなので、もう一度チェックを。

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