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東京医科歯科大学1987年度入試問題物理解説

2科目で120分、120点。


$ \fbox{1}$ レベル:$ \alpha$ 、解答時間:30分

簡単な問題です。熱力学の基礎を押さえましょう。

$ (1)$
ここはご愛敬。

$ (2)$
ボイル・シャルルの法則を用います。

$ (3)$
単原子分子理想気体の内部エネルギーは $ \dfrac{3}{2}nRT=\dfrac{3}{2}PV$ で表すことができます。

$ (4)$
エネルギー保存則を用います。エネルギー保存則は式を暗記するのではなく、「今の場合、気体は膨張している。ということは外部に仕事をしているんだな」「ということは、もらった熱量が外部への仕事と、気体自身の内部エネルギーの増加に使われているんだな」という感じで、状況毎にイメージしながら考えていきましょう。

$ (5)$
$ (4)$ と同じです。

$ (6)$
与えられたような$ PV$ グラフにおいて、気体が外部にする仕事はサイクルが囲む面積になります。丁寧に $ A\rightarrow B\rightarrow C\rightarrow D\rightarrow A$ の各過程で気体が外部にした仕事を求めてもいいのですが、無駄手間です。

$ (7)$
この問題では、全体を通じてきちんと答えに単位をつけるのを忘れないようにしましょう。

$ \fbox{2}$ レベル:$ \omega$ 、解答時間:30分

スイッチ$ S$ が開いているときコイルを流れる電流を$ I_1$ 、抵抗$ R_1,\ R_2$ の抵抗値を$ R$ とすると、キルヒホッフの第二法則より、

$\displaystyle E-L\dfrac{dI_1}{dt}-2RI_1=0
$

です。この式を変形すると、

$\displaystyle \dfrac{dI_1}{dt}=\dfrac{-2R}{L}\left(I_1-\dfrac{E}{2R}\right)
$

となります。$ A$ を定数とすると、この微分方程式を解くことにより、

$\displaystyle I_1-\dfrac{E}{2R}=Ae^{-\frac{2R}{L}t}
$

であることが分かります。$ e$ は自然対数の底で、$ t$ は時間です。よって、

$\displaystyle I_1=Ae^{-\frac{2R}{L}t}+\dfrac{E}{2R}
$

となります。$ t=0$ にはスイッチ$ S$ が開いていたものとし、スイッチ$ S$ の開閉の周期を$ T$ とすると、電流を流し始めた瞬間$ (t=0)$ に、コイルに流れる電流は$ I_0=0$ ですね。なので、上の$ I_1$ の式で$ t=0$ と置くことによって、 $ A=-\dfrac{E}{2R}$ が分かります。従って、スイッチ$ S$ が開いているときの電流は、

$\displaystyle I_1=\dfrac{E}{2R}\left(1-e^{-\frac{2R}{L}t}\right)
$

となります。

スイッチ$ S$ を入れると、抵抗$ R_2$ に電流は流れません。すなわち、スイッチ$ S$ が入っているときコイルに流れる電流は($ I_2$ とすると)、上の式で$ 2R$$ R$ として、$ t$$ t-T$ とした

$\displaystyle I_2=Be^{-\frac{R}{L}(t-T)}+\dfrac{E}{R}
$

です。ただし、$ B$ は時刻$ t=T$ における$ I_1$ の値を用いて、

$\displaystyle \dfrac{E}{2R}\left(1-e^{-\frac{2R}{L}T}\right)=B+\dfrac{E}{R}
$

となります。

さて、$ I_1,\ I_2$ の式で $ t\to \infty$ とすると、 $ I_1\to \dfrac{E}{2R},\ I_2\to\dfrac{E}{R}$ となります。従って、十分時間を取ってスイッチの開閉をくり返せば、グラフは周期的になります。

これらを元に、コイルを流れる電流の変化をグラフにしましょう。グラフの黒い線が電流変化になります。

上のように、きちんと数式にして考えると、この問題は異常に大変です。解答で与えたグラフは、上記のことをきちんと式にして、グラフを与えています。この問題で、正確なグラフを時間内に書き上げるのは至難です。

全体講評

$ \fbox{1}$ は非常に易しい。この問題が解けないと、理系で受かる大学は少ないだろう。

対照的に、$ \fbox{2}$ は非常に難しい。なんとなくグラフを書くことはできるのであるが、正確なグラフを時間内に書き上げるのは、医科歯科大学の受験生といえ、困難である。定常状態 $ (t\to \infty)$ での電流をまず最初に考えてから、電流の挙動を考えるのがいい。その際に、電流が指数関数的な挙動をすることを意識できれば、高得点を得ることができるであろう。

解説で行ったような解析的考察を行える受験生はそれほど多くはないと思われるが、用いている知識自体は高校で学習範囲に留まっている。レベルの高い医科歯科大学の物理入試で高得点を挙げるために、意欲的な受験生は解説を十分に咀嚼して欲しいと願う。

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